マンタにインスパイアされたカール F. ブヘラのダイバーズウォッチ「パトラビ スキューバテック」。そして数匹のマンタを一堂に見ることができる世界でも貴重な水族館「沖縄美ら海水族館」。マンタが繋ぐ新たな関係として、2021年からカール F. ブヘラと沖縄美ら海水族館を管理運営する沖縄美ら島財団はコラボレーションをしておりますが、今年、ついに水族館を訪問して、色々なお話を伺う機会に恵まれました。
2022年6月、カール F. ブヘラの日本正規代理店スイスプライムブランズ株式会社代表取締役ルカ・オルドゥーニャが水族館を訪問、現地では沖縄美ら海水族館統括の佐藤圭一さまに館内を案内していただきました。佐藤さまは水産学博士号を持ち、サメやマンタなど軟骨魚類のスペシャリストです。マンタについて、そして水族館について興味深いお話をたくさん伺いました。
【第1回:水族館展示エリアを巡って、ついにマンタに会いました!】
まず、沖縄美ら海水族館は「沖縄の海との出会い」をテーマとしています。沖縄周辺で採集、あるいは発見された生物を展示・飼育しており、その成功例は世界でもトップクラスです。同時に繁殖や種の保全の研究にも熱心に取り組んでおり、エントランスの壁には水族館で初めて誕生した動物の赤ちゃんが紹介されています。
マンタの飼育下繁殖に世界で初めて成功したのが沖縄美ら海水族館です。マンタは元々飼育が難しい生き物で、どうやって子供を産んで増やしていけるのか、この時はまだ多くのことが分かっていませんでした。しかし、妊娠したメスのマンタを24時間体制で観察し続け、12か月の妊娠期間の後にマンタの赤ちゃんが誕生し、その間に様々な科学的な知見を得ることができたそうです。
まず、水槽内という環境下では、マンタの赤ちゃんがお母さんの体から生まれたら、速やかに他の水槽に移さなければならないということです。理由は2つあります。一つめの理由はマンタの母子は同じ匂いを持っているからです。これはフェロモンに由来すると思われますが、生まれ出た赤ちゃんマンタを交尾しようとするオスが追いかけるため、体当たりをして怪我をする可能性があります。そしてもう一つの理由が、母親は自分が生んだ赤ちゃんマンタの子育てをすることがないので、赤ちゃんを安全な場所で長期間かけて育てる必要があるからです。その後マンタは約5年で成熟することが沖縄美ら海水族館の研究によって明らかとなりました。こうした知識は飼育する経験を通して集められ、何年も継続することによって手法を確立させ多くの成功例へと繋がったのです。
さあ、ここからは水族館の展示エリアへと進みましょう。
まず訪れたのは「サンゴの海」そして「熱帯魚の海」です。沖縄美ら海水族館の建物は沖縄の陽射しを直接取り込むユニークな構造になっています。沖縄のサンゴ礁の生態系を忠実に再現し、約80種440群体の造礁サンゴは圧巻の規模で、今も成長を続け、この水槽内で繁殖をしています。訪れた6月は産卵の時期で、小さな水槽では白い小さなサンゴの赤ちゃんをたくさん見ることができました。
そして、メインの「黒潮の海」に到着。色々な方向から観覧できる容量7,500㎥の大水槽です。全長8.8メートル体重6,000kgという巨大なジンベエザメ、沖縄美ら海水族館のシンボルです。そして、カール F. ブヘラにとって大切なマンタも5匹泳いでいます。マンタはエイの仲間ですが、ここ沖縄美ら海水族館で見ることのできるマンタは、ナンヨウマンタ4匹とオニイトマキエイ1匹の計5匹です。そしてナンヨウマンタのうち1匹は全身黒のブラックマンタです。
迫力の大水槽「黒潮の海」。展示されている生物は約60種。 マンタが3匹、列になって泳いでいました。
マンタは年に1~2回沖縄の海で網に混獲されてしまうことがあるそうです。その場合、ひとまず水族館職員が保護して傷がないかなど健康状態を確認します。そして傷がなく遊泳状態に問題がなければ、個体識別のための画像撮影や、生理学的なサンプル採取をした後に海に戻すことが多いとのこと。すでに水族館では長期飼育・飼育下繁殖に成功していますので、野外で捕獲したマンタで展示数を増やすということは当面ないそうです。
「黒潮の海」から「ジンベエ・マンタコーナー」へと足を進めました。ここにはパネルや映像を使った様々な展示があり、マンタやジンベエザメについて詳しく学ぶことができます。
さて、マンタの生態についての興味深いお話は、第2回目でご紹介します!